八月十六日 受け継ぐ (二〇一四年八月 ひとしずく一五九八)
今朝、六時半頃、玄関の呼び鈴が鳴 りました。
こちらは、朝の六時半というと、 とっくに一仕事を終えている頃です。訪ねてきたのは近所に住むSさんでした。彼は、丸鋸の研ぎ方を教 えてくれる人に、私と息子を紹介したくて訪ねてきてくれたのです。息子と母を探したけれども、畑に行っても居なかったということで、うち に来て私だけでもその人のところに行ってみますか?ということでした。
突然のことで、どうしようかと思いましたが、相手の人を待たせてあるようなので、行くことにしました。
Sさんが、その鋸の刃の研ぎ職人に私たちを紹介したかったのは、もうこの辺りには、そうした職人さんがこの人一人しかいなくなってしまい、それもかなりの高齢ということで、少 しでも早いうちに、その技能を誰かに引き継がせたいという思いからでした。
本当は、息子のYを連れて行きたかったのでしょうが、 息子が見つからなかったので、私が行くことになりました。
Sさんの、こうした若者や次世代に自分 達のもっているものを伝授して下さる態度はとても素晴らしい見本だと思います。Sさんは私たちに、耕耘機を譲ってくださる人を紹介してくれたり、村の使われていない田畑を教えてくれたり、また色々な器械の使い方を丁寧に教えてくれます。
研ぎ職人のTさ んは、八十歳を越えている本当のご老人でした。もし長いヒゲをつけたなら、それこそ仙人のようで、微笑みを絶やさない方でした。後光でも 指してくるのではないかという感じでした。
Tさんは、私が持って行った大きな 丸鋸の刃を研ぎ台に載せて、研ぎ方を教えてくれました。そして、私に一枚の丸鋸の刃を下さいました。それを見本に研いだらいいということ でした。私は、こうした技術を受け継ぐために教え、 また仕えるTさんの姿、そして人柄に心打たれてしまいました。
私は今、ある人から、福音のための働き人を訓練する必要性について、私のテステモニーを書いてほしいと頼まれ、それを書 き始めたところですが、世界は異なっていても、自分の持っているものを次世代に引き継いでもらうというこの精神については、共通するところがあるな、と思いました。そして私は、このTさんの謙って熱心に教えてくださるその姿勢に、とても感銘を受けました。テステモニーを書く私に、主は必要なビジョンを与えてくださったのです。感謝です。
どうか主が、新しい働き人を起こしてくださいますように。今まで主が私たちを訓練してくださったように、私たちが学び受け取ったものを忠実に他の人にも分け合うことができ るよう、主が助けてくださいますように。イエス様のお名前で祈ります。
そして、あなたが多くの証人の前でわたしから聞いたことを、さらにほかの者たちにも教えることのできるような忠実な人々に、ゆだねなさい。 (第二テモテ二章二節)