神の御心がなりますように

五月二四日 神の御心がなりますように (二〇一二年五月 ひとしずく八一七)
 
愛する人が苦しむのを見る時、誰でも、その試練の圧力を少しでも弱めてあげたいと思うものです。そして、できることなら自分が代わってあげたいと。
しかし私たちは、その人のために祈ることはできますが、その人が負っている重荷を、代わりに背負うことはできません。でもそのことでがっかりするのではなく、神様は全てご存知であられ、誰よりもその人を愛しておられることを思い出す必要があります。そして私はこう思います。主は「わたしの恵みはあなたに対して十分である」(第二コリント十二章九節)ことを、その人に語っておられ、実際、その人が試練の中にあっても、そのための恵みが与えられているに違いないと。
 信仰の目をもって見るなら、それがわかります。
 
 神様は、一人一人がどんなものでできているかご存知であり、またこの愛する人がどれだけのものに耐えられるかもご存知です。おそらく、その人が試練を通過しているのは、大勢の人の慰め、励ましの器として、将来、主が使おうとされているからなのかもしれません。あるいは、私たちの想像を遥かに超えた素晴らしい計画があるのかもしれません。
主は霊であられるので、その人の霊と心に慰めと励ましを与えて恵みを十分に注いでおられるのを、私たちの肉眼では認知することはできません。そのため、私たちの祈りは聞かれず、その試練の圧力が未だに取りのけられないと思って、がっかりしてしまうのです。
私たちは、その人の可能性や、神がその人をどれだけの器に仕立てようとしているのかを知るすべもないのですから、必死に祈ったなら、後はただ主に信頼するしかないのだと思います。
 その人の試練を神様に感謝し、賛美することによって、神様のなさろうとしていることを、信頼と期待を持って待ち望むのです。
 
 先日、彫刻家の友人と話をしたのですが、日本刀の興味深い話をしてくれました。
日本刀というのは、大変優れたものであり、昔から世界中の関心を集めているとのこと。日本刀を立てて、その正面からピストルで撃つと、日本刀に当たった弾丸は、何と真二つに割れてしまうのだそうです。
さらに、別の友人が、その日本刀の造り方についての興味深いお話を教えてくれました。
   日本刀の強さの秘密とは、材料と技術で、まず材料となるのは砂鉄です。鉄は、刃の部分には炭素含量が多く硬いもの、内側の芯には炭素含量が少なく軟らかいものと、硬度の異なる鉄を使うことで、切れ味と強度の両方が生まれるのだそうです。そして、それらを何度も叩くことで不純物が取り除かれ、さらには土塗りをした刀身を熱してから急冷する「焼き入れ」の作業を行うことで、あの強靭さが生まれるということです。
   つまりは、日本刀の強さとは、そのように鍛え上げられた結果であって、その優れた特性は、何度も打たれ、鍛えられるということなしには造り上げられることはないということなのです。
   あの美しく輝くダイヤモンドも組成は炭です。それに長い間、ものすごい圧力がかかって、鉱物の中でも最も固く透明なダイヤモンドが出来上がるのです。
 
 もし、神様が私たちの愛する者にお与えになっている試練が、この日本刀やダイヤモンドのように造り上げようとしているためだとしたら・・・?それを知っているなら、何が何でも、この愛する者が試練に遭わないように、また試練から早く解放されるようにと祈るでしょうか?
 
どうか私たちが、愛する者の試練を、単なる同情や平面的な見方で捉えるのではなく、神の目を通して見、人の魂になさっている神様の御業を見ることができますように。
そして、イエス様が重い十字架を負われた時に祈られた「神の御心がなりますように」の祈りを、他の人のためにもすることができますように。
 
主は愛する者を訓練し、受けいれるすべての子を、むち打たれるのである。(ヘブル十二章六節)
 
神は、いかなる患難の中にいる時でもわたしたちを慰めて下さり、また、わたしたち自身も、神に慰めていただくその慰めをもって、あらゆる患難の中にある人々を慰めることができるようにして下さるのである。(第二コリント一章四節)
 
すべての訓練は、当座は、喜ばしいものとは 思われず、むしろ悲しいものと思われる。しかし後になれば、それによって鍛えられる者に、平安な義の実を結ばせるようになる。(ヘブル十二章十一節)

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