イエス・キリストの生涯-41
聖書の基本4
ロバート・D・ルギンビル博士著
j. 最後の過越の祭り<v>:
4) ユダとサンヒドリンのイエス殺害計画 : ヘロデがその33年前に、本物の「ユダヤ人の王」によって自分の王朝が脅かされると考え、イエスを殺そうとしたように、ユダヤの政治的、宗教的な権力者たちもまた、主や主の働きによって自分たちの地位が「脅かされる」ことを長い間懸念していました(マタイ21章46節, 26章4節; マルコ12章12節, 14章1節; ルカ20章19節; ヨハネ7章30節, 7章44節, 10章39節)。 彼らの考えは、主の凱旋の直前に開かれた祭司、パリサイ派、サドカイ派が会議で自分たちを「国民」と同一視していることについて、ヨハネがうまく要約して伝えています:
そこで、祭司長たちとパリサイ人たちとは、議会を召集して言った、「この人が多くのしるしを行っているのに、お互は何をしているのだ。(48)もしこのままにしておけば、みんなが彼を信じるようになるだろう。そのうえ、ローマ人がやってきて、わたしたちの土地も人民も奪ってしまうであろう」。(49)彼らのうちのひとりで、その年の大祭司であったカヤパが、彼らに言った、「あなたがたは、何もわかっていないし、(50)ひとりの人が人民に代って死んで、全国民が滅びないようになるのがわたしたちにとって得だということを、考えてもいない」。(ヨハネ11章47-50節)
この会議の直後、群衆との対立を避けるために、イエスを「ひそかに」逮捕するため、密告者を立てるようにとの指令を出しました(ヨハネ11章57節; マタイ26章4節; マルコ14章1節参照)。 ユダが訴えに応じたとき、彼らが「喜んだ」のはこのためです(マルコ14章11節; ルカ22章5節)。 主が群衆と一緒ではない時の居場所や何をしているかについての「内部情報」を手に入れた彼らは、反乱を起こさせることなく主を逮捕できると思ったからです。
ユダのもともとの動機が何であったかは、推測するしかありません。 彼の動機の一部は確かに金銭的なもので、バラム(ヨハネ12章6節; 第二ペテロ2章15節参照)のようにこの新しい成り行きから利益を得ようとしたのでしょう。 また、イエスのミニストリーの人気と明らかに奇跡的な性質に惹かれた部分もあったかもしれません。そうでなければ、命の主を裏切ることはなかったでしょうし(第一コリント2章8節)、そうでなければ、悪魔に憑依されることもなかったでしょう(ルカ22章3節; ヨハネ13章27節)。ですから、サタンは最初からユダに手をかけ、主の中に潜入者を置こうとしていたことは確かでしょう(そして、その過程で預言が成就したのです:ヨハネ13章18節)。ユダはイエスを信じていなかったことは主もよくご存じでしたが(ヨハネ6章64節, 6章70節, 13章18節参照)、他の弟子たちはユダを疑っていなかったようです。それは、主がヨハネとペテロに「<食物を>ひたす」という明確なしるしを与え(ヨハネ13章26-28節)、「私ですか」という質問に対して「いや、あなただ」とユダを名指しした後も、ユダが疑われることはなかったという事実から見て取ることができます:(マタイ26章23-25節)。 このことから、ユダは他の人十二人の誰よりも敬虔で立派な外見を装っていたと考えることができます。また、墓の外側を 「白く塗る」ことに最も気を使うのは、内側に最も激しい腐敗を持つ人々であることが多いのです(律法学者やパリサイ人の場合:マタイ23章27節)。
<-42に続く>