イエス・キリストの生涯-64
聖書の基本４
ロバート・D・ルギンビル博士著
4) 復活の経緯 ＜i＞
(39)わたしたちは、イエスがこうしてユダヤ人の地やエルサレムでなさったすべてのことの証人であります。人々はこのイエスを木にかけて殺したのです。(40)しかし神はイエスを三日目によみがえらせ、(41)全部の人々にではなかったが、わたしたち証人としてあらかじめ選ばれた者たちに現れるようにして下さいました。わたしたちは、イエスが死人の中から復活された後、共に飲食しました。(42)それから、イエスご自身が生者と死者との審判者として神に定められたかたであることを、人々に宣べ伝え、またあかしするようにと、神はわたしたちにお命じになったのです。(43)預言者たちもみな、イエスを信じる者はことごとく、その名によって罪のゆるしが受けられると、あかしをしています」。（使徒行伝10章39-43節）
過越の祭りの前の金曜日に十字架上で霊を吐き出されたイエスは、続く日曜日に死からよみがえられ、その後40日間にわたって、すべての人にではなく、以前から信じていた人々の中のふさわしい証人に現れました。
（1）テオピロよ、わたしは先に第一巻を著わして、イエスが行い、また教えはじめてから、(2)お選びになった使徒たちに、聖霊によって命じたのち、天に上げられた日までのことを、ことごとくしるした。(3)イエスは苦難を受けたのち、自分の生きていることを数々の確かな証拠によって示し、四十日にわたってたびたび彼らに現れて、神の国のことを語られた。（使徒行伝1章1-3節）
(30)しかし、神はイエスを死人の中から、よみがえらせたのである。(31)イエスは、ガリラヤからエルサレムへ一緒に上った人たちに、幾日ものあいだ現れ、そして、彼らは今や、人々に対してイエスの証人となっている。（使徒行伝13章30-31節）
(3)わたしが最も大事なこととしてあなたがたに伝えたのは、わたし自身も受けたことであった。すなわちキリストが、聖書に書いてあるとおり（成就して）、わたしたちの罪のために死んだこと、(4)そして葬られたこと、聖書に書いてあるとおり、三日目によみがえったこと、(5)ケパ（すなわち、ペテロ）に現れ、次に、十二人に現れたことである。(6)そののち、五百人以上の兄弟たちに、同時に現れた。その中にはすでに眠った（すなわち、死んだ）者たちもいるが、大多数はいまなお生存している。(7)そののち、ヤコブ（主の地上の異父弟）に現れ、次に、すべての使徒たちに現れ、(8)そして最後に、いわば、月足らずに生れたような（キリストの地上での宣教のときに、取り残された）わたしにも、現れたのである。（第一コリント15章3-8節）
その最初のイースターの日曜日が明けたとき、私たちの主は神の力によって死者の中から復活されました（ローマ1章4節; 第一コリント6章14節; 第二コリント13章4節; エペソ1章18-23節; ピリピ3章10節; コロサイ2章12節; ヘブル7章16節; 黙示録20章6節参照）。つまり、金曜日の午後以来死んでいたキリストの人間の体は、腐敗することのない新しい永遠の体に変えられ、キリストの人間の霊は、誕生時に神がすべての人間の体に霊を吹き込まれるのに匹敵する方法で、その中に戻されたのです。 この時点から、キリストの人間性は永遠に生きるようになり、詩篇16篇に記されている預言に従って、メシアは「決して朽ちることを見なかった」のです（詩篇16篇10節; 使徒行伝2章27節, 2章31節, 13章35節参照）。主は、葬りの布をきれいにたたまれた後（ヨハネ20章5-6節： これは、復活を示すだけでなく[1]、主がすべてのことに注意深く勤勉であることを示すものであり、主も私たちも復活後も「同じ人」であるという素晴らしい事実を証明するものでもあります）、注意深く封印され、警備されていた墓から、どうやら見張り兵の目にも触れることなく、ただ歩いて出て行かれました（マタイ27章62-66節）。
イエスの復活と墓からの出発を、神はイエスの死と同じように、大きな地震によって強調されました。天使が現れ、イエスの遺体が横たわっていた場所を明らかにするために、石を転がして取り除きました。この天使の出現は衛兵たちを恐怖に陥れ（マタイ28章3-4節）、当然のことながら、衛兵たちはこの事態にあっては、（後にサンヒドリンにこの奇跡的な出来事を報告する以外には： マタイ28章11-15節）他に果たす術はありませんでした。イエスが地上で宣教されておられた間、イエスのそばにいた女性たちが、イエスの遺体に油を注ぐために墓に来たとき、入り口の石をどのように除くか心配していましたが、彼女たちが墓に行ったとき、墓はすでに開いていて、そして空だったのです。 その時、この天使は、主は「死者の中からよみがえられた」ので、そこにはおられないと、やって来た女たちに説明したのです（マタイ28章6-7節; マルコ16章6節; ルカ24章5-7節参照）[2]。
[1] すなわち、トーマスとガンドリーThomas and Gundryが指摘しているように、op. cit. p.254、これらは残されることはなく、もしキリストの体が「盗まれた」のであれば、きちんと折りたたまれることもないでしょう。
[2] マタイとマルコは、女性たちに話しかけた一人の天使についてのみ言及していますが、ルカは、彼には実際、仲間がいたと伝えています（ルカ24章4-5節）。
＜-65に続く＞