イエス・キリストの生涯-49
聖書の基本4
ロバート・D・ルギンビル博士著
キリストの七つの裁判<vi>:
5) ヘロデの前での裁判(ルカ23章8-12節): 主をヘロデのもとに送ることは、ピラトにとって完璧な解決策に思えたことでしょう。 それは責任を転嫁させる素晴らし方法でした。ヘロデの父であるヘロデ「大王」は、結局のところ、ローマ帝国の保護国としてユダヤを王権を振るっていたのですが、王としての統治権は大王の死後、(その長男であるヘロデ・アケラオの不正行為のため)消失することになりました。もう一人の息子であるこのヘロデ<アンテパス>もまた自分の父親のかつての地位を獲得しようとしていたことは想像がつきます。他人が「王」を名乗ることに腹を立てる者がいるとすれば、それは間違いなくヘロデでしょう。ヘロデの父はイエスを殺そうとし、ベツレヘムの男児を殺し(マタイ2章1-19節)、その息子であるヘロデ(アンテパス)は、主の布告者である洗礼者ヨハネを処刑しました(マタイ14章3-12節、マルコ6章17-30節; ルカ9章9節)。このように、イエスをヘロデのもとに送ることは、良心的な行為とはほど遠いものでした。 しかし、ヘロデはこの待遇を受けたことを喜び、私たちの主を長々と問い詰めましたが(私たちの主はこの違法な手続きに応じなかったので、ヘロデは何の得るものもありませんでした)、主は明らかに、いかなる法的手続きにも関与する気はなく、そのつもりもありませんでした。イエスをさらに罵倒した後、ヘロデはイエスをピラトに送り返しました。
<-50に続く>