セールスマンシップ

十月十五日 セールスマンシップ (ひとしずく一七〇六)

 「セールス」というと、私の初めの 印象は、押し売りというネガティブなものでした。しかし、その印象を良いものに変えた、二人の情熱のセールスマンがいます。

一人は、今は牧師になった人で、彼は以前、空調機の販売セールスマンでした。彼の過去の業績の記録は、今だに誰も破ることができないのだそうです。それで、彼にどうしてそんな成功を収めることができたのかと尋ねたら、その秘訣を明かしてくれました。それ は、顧客に対して、あるセールスの売り込み文句があり、それを忠実に実行するというものでした。

 空調機の調子が時々悪くなるというのは、どこの会社の製品にも起ります。熱い最中に冷房器が壊れたから今日は店を閉じます、と言うことができないお客に対応している人々に とって、空調器の調子が悪くなった時、すぐに駆けつけてきてくれるということはとても有難いことです。

彼のセールスの売り込み口上は、「問題があったら、いつでも二十四時間対応します」ということでし た。そして特に彼は、その約束通り、どんな時でも、顧客から要望があれば、できる限りすぐにかけつけたということです。

 彼は商品をただ売る時だけ、その場限りの調子のいいことを言ったのではなく、その約束を忠実に実行し続けたのです。以前のお客さんと築かれた関係は続いていて、今でも時々電話が来るのだそうです。このような人が購入した機器のアフターサービスをしてくれるなら、その機器を使うにあたって安心です。

 私が感服している、もう一人のセー ルスマンは、私がお世話になっている車の保険会社の人です。彼は、とても親切で誠実な人です。それまで乗っていた車が古くなって、別の車に替えなければならなかった時、色々な混乱がありま した。車が古くなったから、どうしようかと考えていた時、他の人が使わなくなった車を提供してくれました。それで、今まで使っていた車の保険を、この車の方に移しました。しかし、この車も、見た目は良いのですが、かなり古くて、使ってみたら問題が多く修理しなければならないことが続きました。それで私は、どちらも古い二台の車のうち、どちらを残したら良いのか、究極の選択で迷っていました。そして色々考えた末、結局、元々乗っていた車の方を残す事にしました。しかし、また保険を移さなければならず、これ以上、保険会社の 人には迷惑をかけられないと思い、安かった保険を新規にするしかないか、と思っていました。また最近、家の冬支度やリトリートの準備のために忙しかったので、面倒な保険の手続きも時間をかけてすることができないので、この安くなった 保険をあきらめるしかないと思っていたのです。

ところがです!この保険のセールスマンは、面倒なことは全部やってくれて、また自分のポケットマネーから、私の陸運局まで行くお金を出してくれるとまで言うのです。私は、彼のこうした熱意と親切に、頭が下がりました。これらのセールスの人たちは、もちろ ん、売り上げのため、目に見える目標のために、顧客の無理も聞き入れるという犠牲を払っているのでしょうが、それでも、その姿には、心が動かされてしまいます。

彼らは本当に素晴らしいセールスマンです。自分が売り込みたいと思っているもののために、熱心に売り込むばかりでなく、 犠牲を払って顧客の気持ちや必要を大切にしているのです。

果たして、私はどうだろう?と、思わず考えさせられました。私たちが一番、人に売 込みたい福音のために、自分はどれけ喜んで犠牲を払おうとしているのだろうか?と。自分に痛くても、また休んでいたい時間に呼び出されるということがあっても、どんな犠牲 がかかっても、この福音を人々に伝えるために、霊に燃え、誠心誠意尽くせるか・・・とても心探られるものでした。

 主は最高のセールスマンです。主は、神が私たちに提供しようとしているものが、私たちにとってどうしても必要で、最高に素晴らしいものであることを、訴えてくださいまし た。そして主は、そのためにどんな犠牲をもいとわず、御自分のすべてを捧げてくださったのです。

 そのような愛が示されたからこそ、 私たちは主と、主の御言葉を受け入れるに至り、この世が決して与える事のできない、平安と幸せと永遠の命に与かったのです。

そして主は今、この素晴らしい福音を、全世界にもたらすよう私たちを任命してくださっています。

愛と熱意と忠実さをもった、優れたセールスマンになれますように。

人の子は、滅びる者を救うためにきたのである。〕 あなたがたはどう思うか。ある人に百匹の羊があり、その中の一匹が迷い出たとすれば、九十九匹を山に残しておいて、その迷い出ている羊を捜しに出かけないであろうか。 もしそれを見つけたなら、よく聞きなさい、迷わないでいる九十九匹のためよりも、むしろその一匹のために喜ぶであろう。 そのように、これらの小さい者のひとりが滅びることは、天にいますあなたがたの父のみこころではない。 (マタイ十八章十一~十四節)

あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだのである。そして、あなたがたを立てた。それは、あなたがたが行って実をむすび、その実がいつまでも残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものはなんでも、父が与えて下さるためである。(ヨハネ十五章十六節)

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