十月十三日 信じる者になりなさい (ひとしずく六一六) 先日出会った男性は、こう言って嘆いていました。「自分は大学を中退してしまったから、良い就職ができない。神様は、私に対して厳しい」と。神様と言っても、彼はずっと仏教を学んでいた人で、最近カトリック教会で神様について学び始めたところです。 その男性は40歳くらいで、健康的に特別問題があるわけではなさそうでし た。私は、「自分も中退です。大学にいることに意義を見出せなかったからです。」と説明しました。私は、宣教師になる決意をしてから、大学で専攻していた工学 は、自分には必要ないと思うようになったのです。ある教授は私に「もうあと一年辛抱すれば、卒業証書をもらえるんだから、頑張って卒業しなさい」と言ってくれましたが、今でも中退したことは少しも後悔していません。 必要物を供給し、道を開いてくださるのは神様です。それを信じてさえいれば、神様は必ず何とかして下さるものです。 しかし彼は「そんなことを言っても、この世の中では、学歴がないと就職できない」と言いました。私は、神様は、奇跡によってどんなことでも出来ること、また自分の生涯は、ただ神様の力によって支えられ、供給されてきたこと、そして私のボス は、神様であり、聖書のマタイ六章三十三節には、『まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのもの(食物や着るものなど)は、 すべて添えて与えられるであろう』と書かれてあり、その通りに神様がして下さることなどを話しました。そして大卒の就職率が五〇%ですから、大学を卒業したからと言っても、必ずしも仕事に就けるというわけでもないことなどを反しましたが、彼の反応からして、私の話を理解してもらえるようになるには少し時間が必要かもしれないと思いました。 私たちがいるような過疎化の進む一方の田舎では、仕事がないという声をたびたび耳にしますが、仕事がないわけではないのです。人が少ないのだから、人でが足りないに決まっています。しかし、楽な仕事、いわゆる手を汚さない仕事、時給の高い仕事がない、というなら、そうかもしれません。だから何をもって、仕事に就けないというかは、自分の好きな、あるいは望んでいるような仕事というものはないということになることはあります。 これは人生観と関係があって、何のために生きているのかや、この世に生きるように、使わして下さった神様を認めるかどうかに大いに関係してきます。 神はそれぞれのために、人生を備えられたのですから、この世界に自分の場所がない人はいないでしょう。空の鳥を養い、野の草を装われる神は、ましてわたしたちに良くされないはずなはいと、言っておられるのですから。 私たちが、言葉もろくに通じない国に宣教しに行って、留まるための資金源も途絶えようとしていた時(家内の祖父の仕送りに頼っていましたが、すぐに彼は亡くなりました)、まったく奇跡的に供給の扉が開きました。どんな場所でも、どんな方法でも主は供給されます。神には不可能はないからです。 前述の男性と話をした翌日、私は、ダウン症の子供さんを持つお母さん達の聖書クラスに行きました。そのうちの一人のお母さんは、息子さんが成長していよいよ就職する年頃になると、やはり、その子に働き口があるのかと心配していたそうです。彼女の息子さんは、大勢の人たちに好かれて、いつも周りを明るくしてくれます。彼女はそんな彼のため、必死に神様にお祈りしていたそうです。 「主よ、この子のために扉を開けてください。あなたはこの子を愛しておられます。ですから、この子に合った仕事の場所を備えてください」と。 そして主は、奇跡的に、地元の郵便局の仕事を、彼のために与えてくださったのです。職場の人たちは皆、彼に優しく、彼はその職場をとても気にいっているそうです。主は、彼女の必死の祈りに答えて下さったのです。彼は、聖書クラスの最中に、そこに出席している皆に、お茶を買ってきてくれました。彼の給料から、それを買ったことを、彼のお母さんは説明してくれました。彼の微笑ましい姿を眺めていたら、主の御言葉が浮かびました。 「信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」(ヨハネニ〇章二七節) 二羽のすずめは一アサリオン*で売られているではないか。しかも あなたがたの父の許しがなければ、その一羽も地に落ちることはない。(マタイ十章二九節)(*アサリオン:*ローマ帝国 の小銅貨。日本円にして数百円の価値) イエスは彼らを見つめて言われた、「人にはできないが、神にはできる。神はなんでもできるからである」。(マルコ十章二七節) –祈り–今、先行きの心配、不安に駆られている兄弟姉妹のためにお祈りします。どうか信仰を強めて下さい。あなたにできないことは何一つありません。そして疑いにかられて、波のように揺れ動いてしまうことのないように助けて下さい。「決して離れず捨てない」と言われたあなたのお約束を信じて、約束のものを得る者となれますように。
イエス・キリストの生涯-22
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