最後まで共におられた神

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2023年1月20日

「ひとしずく」ーーひと昔編

二羽のすずめは一アサリオンで売られているではないか。しかもあなたがたの父の許しがなければ、その一羽も地に落ちることはない。(マタイ十章二九節)
聖書の口語訳も新共同訳も、その一羽も地に落ちることはないのは「父の許しがなければ」となっています。
しかし、原文には、「許し」という言葉は入っていません。英語のキング・ジェームズ訳は、原文のまま訳されており、「without your Father」 つまり「あなたの父なしには」となっています。
  ある人はこのことを指摘して、訳によって意味に大きな違いをもたらしてしまっていると言っています。確かに、「父の許しがなければ、その 一羽も地に落ちることはない」 というのだと、父なる神様がスズメが地に落ちるのを許されたということになります。もちろん、父が許されなかったら、そうはならなかったということも、ある意味では真実だと思います。しかし「あなたの父なしには」という言葉は、もっと違った意味を汲み取れます。
 「あなたの父なしには、その一羽も落ちる(死ぬ)ことはない」。要は「死ぬ間際までそばにいてくださる」というのが原文から、またキング・ジェームズ訳から受け取れる意味です。そうです。まさしく主は、死ぬ間際まで共にいてくださるのです。 
 昨日の朝、友人のマリアさんのお兄さんが天国へ旅立たれました。 
 その数日前、マリアさんは腰の痛みで歩くのが難しい状態でした。しかし、お兄さんのいる病院に行かなければという思いにかられ、奇跡的にも病院に行くことができたのだそうです。そして、それがお兄さんに会った最後になりました。 
 その時、お兄さんはマリアさんが来るのを待っており、マリアさんはお兄さんの笑い顔を見ることができたのだそうです。
病院から帰ってくると、さっきまで大丈夫だったのに、また腰の痛みが始まり、本当に主が、お兄さんに会いに行かせてくれたのだと思ったそうです。 
 そして、マリアさんがお兄さんに会いに行った後のこと、寝たきりだったお兄さんが急に、 ベッドから出て、看護婦さんのいるところに歩いて行き、地元に帰りますから、もう病院の治療はいいです、と話したのだそうです。そうして、彼は、四十年もの間、大切に耕して来た自分の田畑や住んでいたお家を見るために、千葉の病院を後に、故郷福島に戻ったのでした。彼は御家族と共に福島県飯館村に住んでいましたが、原発事故で田畑を失い、住まいも追われ、お隣りの川俣町に引っ越していました。その現在の自宅に戻り、そこから思い出のたくさん詰まった飯館村の家や田畑を見に行ったのでした。そして昨日の朝も、もう一度、その飯館村のお家に行きたいと言って、そこに向かっている途中、天に召されたのでした。
 最後にマリアさんがお兄さんと会えるように、マリアさんに力が与えられたこと、またお兄さんが最後に自分の大切にしていた田畑や家を見に行きたいという願いが叶えられたこと、全て、何か人の力を越えた力が働いていたのを感じます。
 共にいてくださる父なる神様の力が、それら全てを取り計らってくださったとしか言いようがありません。
 死に向き合う時、私たちは、一人です。しかし、死に至るまで、決して離れず共にいて下さる神様がいるなら、決して一人ではありません。 
 まさに父なる神は、マリアさんのお兄さんと、地上での最後の最後まで、共 にいて、心の願いを叶えてくださったのです。 
 そして彼は今、この地上での痛みや苦しみから解放され、本当の故郷、イエス様の御許に帰郷されたのです。

神のなさることは、すべて時 にかなって美しい。」(伝道者の書三章十一節)
二羽のすずめは一アサリオンで売られているではないか。しかもあなたがたの父なしには、その一羽も地に落ちることはない。またあなたがたの 頭の毛までも、みな数えられている。それだから、恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。(マタイ十章二九~三一節)
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 (マリアさんから:)
兄は、最期まで、まわりにいる人を気づかい兄らしさを失うことはありませんでした。兄の為に祈っていて下さった一人一人の方々に心から感謝して います。皆さんの祈りを主は全て聞かれ、最善の形で御心を行ってくださいました。今、兄は、一足先に天国でイエス様に会い、心の痛みや身体の苦痛から全て解放され、 幸せで喜びに満たされていることでしょう。

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